東京教区における実践運動の特徴
東京教区は、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の1都8県で構成されており、さらにそれを24組に分けて活動しております。また、東京教区は行政の範囲が広域にわたるため、円滑に諸事を進めるために、教区を3つの区域(ブロック)に分割し、活動しています。そもそも東京教区は、親鸞聖人が約20年間、他力念仏のみ教えを人々に伝えられた地域であり、多くのご旧跡寺院やそれにまつわる在地伝承が残っています。まだ浄土真宗に馴染みのない方々が多数を占める土地において、当時からすでにさまざまな「開教」推進がなされてきた地域ともいえるでしょう。
昨今においても、「首都圏宗務特別開教区」が含まれる東京教区は開教推進の可能性が期待できる地域を含む、全国でも特異な環境にあります。東京教区・教区内寺院の活動がそのまま開教に繋がることを意識すべきです。その意味でも教区内寺院の活性化は大切な実践運動であり、今後は、益々築地本願寺と連携し、将来的には各寺院の自立的な運営が持続できるよう展開していかねばなりません。
また、東京教区は日本の政治経済の中心地を抱えることも特異な点です。東京で始まったことが徐々に地方に波及するあらゆる例を見れば、東京教区に生きる人々の生き方が全国に影響を及ぼせるはずだと思います。
これらの地域的な特徴を踏まえ、これまでの東京教区の実践運動は展開されてきました。例えば、東京教区において山積する課題の一つとして、特に首都圏に多くみられる宗教的浮遊層に対し、新たな開教を意識しながら、通過儀礼を推奨する取り組みが行われてきました。さらに、非戦平和を多くの人々に呼びかける運動として「へいわフォーラム」も開催しています。千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要の前日に築地本願寺を会場に開催できることも、東京教区の実践運動の特徴の一つと言えます。
今後は、浄土真宗のみ教えを一人ひとりがお聴聞しやすい周囲の環境を整えていくことを優先し、先人の方々が積み上げてこられた開教の軌跡に学び、貧困はほかのだれでもない私自身の心であることを忘れることなく、現代に沿った伝道実践を目指していきたいと思います。
運動の継続性について
これら上記の取り組みを含め、東京教区ではその他多くの活動が行われています。これらは非常に重要なものですが、いつまでも永続的に続けられるわけではありません。変化の速い時代において、活動そのものが時代に適応したものであるかを含め、見直す必要性を想定しておくことも大事な視点です。全ての活動に対してアンケートなどを行うことで検証結果を得、検証結果を蓄積しながら、活動の継続に対する評価を得て、それぞれの取り組みに活かしていきます。
また、1都8県、それぞれの地域で抱える課題は千差万別であり、その広域さゆえ一つの場所に集まることも容易ではありません。東京教区では、2020年度より、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から、諸活動の多くをいち早くオンライン型に移行して開催してきました。今後は、対面とオンラインを併用し、如何なる状況にあっても運動が滞らないような仕組みづくりを構築できるよう努めてまいります。